ECサイトの種類は、「販売方法」「ビジネスモデル」「構築方法」の大きく3つの軸で分類できます。本記事では、この3つの観点からECサイトの種類を詳しく解説します。それぞれの特徴や注意点を理解し、自社に最適なECサイトを検討しましょう。
目次
ECサイトとは?
ECサイトとは、Eコマース(electronic commerce)サイトの通称で、消費者がオンライン上でショッピングを楽しめるWebサイトのことです。企業・個人問わず、ECサイトを持つことが増えてきており、初期費用無料で手軽にECサイトを立ち上げられるサービスも増えています。
ECサイトの浸透により、これまで来店型の店舗集客がメインだった事業主にとって、エリアを問わない集客・販売が可能になりました。
特にコロナ禍を経てその動きは活発化しており、経済産業省のレポート「電子商取引に関する市場調査」によれば、2021年の日本国内のBtoCのEC市場規模は、20.7兆円(前年比7.35%増)、BtoBのEC市場規模は372.7兆円(前年比11.3%増)となっており、今後もますます拡大していく見込みです。
ECサイトの概要や市場規模については以下の記事で詳しく解説しています。
ECサイトとは?種類や必要な機能・運営業務をわかりやすく解説
ECサイトは3つの軸で種類が分かれる
ECサイトは「販売方法」「ビジネスモデル」「構築方法」の3つの軸からそれぞれ分けて考えられます。
販売方法やビジネスモデルによってECサイトに必要な機能やデザインが異なります。また、構築方法によって搭載できる機能に制限があったり、運用にかかるコストが変わったりするため、3つの軸を踏まえて自社に最適なECサイトを考えましょう。
販売方法によるECサイトの種類
販売方法によるECサイトは、主に次の5種類に分かれています。
越境ECサイト
単品ECサイト
定期販売ECサイト
ダウンロード販売ECサイト
マルチチャネル型ECサイト
ただし、必ずしもどれか1つだけに当てはまるわけではなく、2〜3の要素が混在することもあります。ここではそれぞれの特徴を解説します。
①越境ECサイト
越境ECサイトとは、主に海外向けの取引を行うECサイトのことです。国内外問わずマーケットを広げられる点が魅力です。
ただし、多言語に対応しなければならない点や、各国で主流の決済方法に対応する必要がある点、関税問題や発送時の方法など、クリアしなければならない点も多いです。
多くの機能を搭載する必要があるため、高いスキルが必要で、トラブルが発生した際に素早く対応できる体制も整えておかなければなりません。
「令和4年度 デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、越境ECの売上規模は、2021年に86兆円から、2030年には870兆円まで拡大すると予測されています。世界の越境EC市場はこれからも拡大していくでしょう。
②単品ECサイト
単品ECサイトとは、1つの商品のみを販売するECサイトです。目玉となる商品を1つだけに絞ることでターゲットへの訴求力を高められます。商品の素材・特徴・消費者の口コミ・価格などを配置し、1つ1つの項目に豊富な情報を記載できることが特徴です。
参入障壁が低く、多くの競合他社が存在しているため、安定した売上を作るためには定期購入を促す工夫が必要です。単品ECサイトで扱われる商品は、継続的な利用が見込める健康食品や美容アイテムなどが多いです。
また、単品ECサイトの多くは、自社で製造した商品を扱っており、DtoC(Direct to Consumer)のビジネスモデルに該当するケースが多いです。
③定期販売ECサイト
定期販売ECサイトとは、一度契約すると解約されるまで定期的に商品が購入される仕組みのECサイトです。単品ECサイト同様に、多くのリピーターを獲得することが安定した売上構築に必要です。
扱われる商品も単品ECサイトと似ており、健康食品やサプリメント、化粧品などが多いです。単品ECサイトから事業を始め、扱う商品・サービスを増やすことで、定期販売ECサイトに変化するケースもあります。
定期販売ECサイトでは、日常的に繰り返し使うアイテムを扱ったり、オリジナリティの高いサービスを提供したりすることが大切です。また、初回限定特典やキャンペーン価格を設定し、初回契約に結びついた後にすぐに解約されないための工夫も必要でしょう。
④ダウンロード販売ECサイト
ダウンロード販売ECサイトとは、電子書籍・音楽・動画・ゲームなど、ダウンロードをして使用するデジタルコンテンツを扱うECサイトです。
販売方法は、月額制のサブスクリプション型とダウンロードするたびに費用が発生する買い切り型に分かれます。
サブスクリプション型は、利用してもしなくても費用が発生しますが、多くのコンテンツを利用したいユーザーに向いています。逆に買い切り型は、1回分のコストが高く設定されているケースが多いものの、特定の商品のみを購入したいユーザーには使いやすいと言えるでしょう。
ただし、サブスクリプション型の場合は、自社である程度まとまった数のコンテンツを保有していなければ契約数を増やすことは難しいでしょう。また、違法ダウンロードや違法アップロードへの対策も求められます。セキュリティを強化すると同時に、違法行為に対する警告ページを挟むなどの工夫が必要です。
⑤マルチチャネル型ECサイト
マルチチャネル型ECサイトとは、自社のECサイトと並行し、Amazonや楽天市場などのECモールにも同時に出店させる方法です。集客力があるECモールに出店することで、ECモール自体の集客力を利用し、売上アップが見込めるでしょう。
ECサイトの露出を増やすことで売上導線が拡大するため、一般店舗が全国にチェーン展開するように、出店チャネルを増やせば増やすほど売上を増加させやすくなります。
ただし、チャネルごとに管理画面をチェックし、在庫確認や発送などの業務を行う必要があります。管理業務が煩雑になるため、一括管理システムの導入やスタッフの増員などの対応が必要になる可能性があります。
ビジネスモデルによるECサイトの種類
誰が誰に販売するのかといったビジネスモデルによってもECサイトを分類することができます。ビジネスモデルによるECサイトの種類は以下の4つです。
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ビジネスモデル | 特徴 |
---|---|
BtoB (Business to Business) | 企業間取引のこと。 一般消費者との取引よりも、 数量・金額ともに大きな取引が多い点が特徴。 |
BtoC (Business to Customer) | 企業と一般消費者の取引のこと。 飲食店や小売店などが代表的で、 社会的な認知度の高い企業が多いことが特徴。 |
CtoC (Customer to Customer) | 一般消費者間の取引のこと。 ハンドメイド作品の販売や 自分のスキルの販売などが含まれる。 |
DtoC (Direct to Consumer) | 一般消費者が直接メーカーから商品を仕入れること。 仲介手数料などをカットでき、 安価な仕入れができる点が特徴。 |
たとえば、「BASE」や「カラーミーショップ」のようなプラットフォームではBtoCの取引が多く、「メルカリ」や「楽天ラクマ」などのフリーマーケットサイトではCtoC取引が多いといった特徴があります。
自社のビジネスモデルによって、ECサイトに求められる機能や使用するサービス・プラットフォームが異なるため、しっかりと確認しておきましょう。
構築方法によるECサイトの種類
ECサイトは構築方法によって「モール型」と「自社EC型」の大きく2種類に分けられます。さらに自社EC型は細分化できるため、より詳細に分類すると6つの種類に分かれています。
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ECサイトの構築方法 | 概要・特徴 | |
---|---|---|
モール型 | ECモール | Amazonや楽天市場のようなECモールに出店する方法。 モールの集客力が強く、多くの導線が見込めるものの、 競合他社も多い点が特徴。 |
自社EC型 | ASP | Web上で必要なシステムをレンタルしてECサイトを構築する方法。 テンプレートが多く用意されているため、 誰でも簡単に操作ができ、手軽に立ち上げられる点が特徴。 |
クラウド サービス | BASEやSTORESネットショップのようなクラウドサービスを利用し、 クラウド上で提供されている機能を使用してECサイトを構築する方法。 低コストで簡単に構築でき、決済機能なども搭載されているものが多い点が特徴。 | |
有料 パッケージ | ecbeingなどのパッケージをもとに独自のカスタマイズを施し、ECサイトを構築する方法。 カスタマイズ性が高く、サイトイメージが具体的かつ細かいケースでも適応しやすい点が特徴。 | |
オープン ソース | WordPressのように公開されているソースコードを使用し、 独自にカスタマイズをしてECサイトを構築する方法。 初期費用を抑えた上でオリジナリティの高いサイトが作れる点が特徴。 | |
フル スクラッチ | ECサイトをゼロから立ち上げる方法。 フルカスタマイズできるため、形式にとらわれないオリジナルサイトが作成できる点が特徴。 |
ECサイトの構築方法については以下の記事で詳しく解説しています。
ECサイトの構築方法・立ち上げ方を解説!必要な費用・期間・手順は?
【まとめ】どの種類にすればいいかわからない場合は?
ECサイトは、販売方法・ビジネスモデル・構築方法の3つの軸で分類でき、そこからさらに多くの種類が存在しています。それぞれで求められる機能やサイトのデザイン、構築・運営にかかる費用が異なるため、自社に最適なECサイトを検討しましょう。もし自社で判断がつけられない場合は、専門企業に相談するのがおすすめです。
株式会社BRISKでは、ECサイトのデザインからシステム構築・運用までトータルサポートが可能です。「どのようなECサイトにすれば良いかわからない」「現在あるECサイトの売上が伸び悩んでいる」という場合は、お気軽にお問い合わせください。具体的な制作事例も紹介しながら、状況やご要望に合わせてご提案します。
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