ECサイトを数年にわたり運営していると、ほとんどの方が一度は考えることがリニューアルです。
しかしリニューアルするには当然お金も時間もかかります。せっかくリニューアルするならかけたお金や時間が最大限効果を発揮するようにしたいですよね。
そこで、ECサイトのリニューアルについて考え始めた方が、ポイントを抑えたリニューアルが出来るようにこの記事で解説していきます。
目次
ECサイトのリニューアルは、目的から整理する
「なんとなくそろそろリニューアルした方がよいかな・・・」というふんわりした動機だけだと、中途半端なリニューアルになったり、リニューアルしたのに思ったように売上が伸びない、ということになりかねません。
それで、まずはなぜリニューアルをするのかを分析して整理することで、どんな方向性のリニューアルをするのか、どれほどの費用をかける必要がありそうか、自社で対応できるのか専門の制作会社に依頼しないといけないのか、などが見えてきます。
場合によっては、全員が再度ユーザー登録をする必要がある、リニューアル後はポイントが引き継げないなど、既に会員になっている既存ユーザーに大きな影響を与えることもありますので、どんなリニューアルをすべきなのかまずは明確にしておくことが必要です。
ECサイトをリニューアルするか悩んでいる時の6つの判断材料
リニューアルについて分析するには判断するための軸が必要です。ここでは6つの判断材料を紹介していきます。
判断材料 1. 機能面の不足
ECサイト開設当時はそれほど必要ではなかった機能が、今は必要性が大きくなってきた、ということがあるでしょうか。
様々な種類の決済サービス、定期購入機能、SNSや他サービスとの連携機能、お知らせ機能やチャットボット機能などの導入が必要になってきているかもしれません。
また管理側での不便さも感じており、管理者用の便利な機能を導入したいと感じているかもしれません。
単純な1つの機能追加であればリニューアルするほどの必要はないかもしれませんが、機能面での不足はリニューアルの検討に際して大きなポイントの1つになるものでしょう。
現在のECサイトのプラットフォームやパッケージによっては希望の機能を追加することができないかもしれず、その場合は別のプラットフォームへの移行リニューアルも視野に入ってくるかもしれません。
ECサイトに関連する機能はたくさんあって何が良いか分からない、という方には以下のブログを参考にしていただけます。
判断材料 2. デザインが古い
運営しているECサイトのジャンルにもよりますが、例えば流行のファッションやアイテムを扱っているのにサイトのデザインが古い、となると訪問したユーザーは少し不安を持つかもしれません。
また、流行とは関係ない商品を扱っている場合でもデザインが古臭いと、既存ユーザーの購入は問題ないかもしれませんが、新規ユーザーの増加はあまり見込めないかもしれません。
デザインのトレンドは時間の経過と共に確実に変化していきますので、あまりにも古いデザインのままだと、長い間メンテナンスされてないのかな、このサイトで購入して大丈夫かな、という印象さえ与える可能性があります。
それで、最新のデザインを追いかけるべき、とまでは言いませんが、ある程度時代の流れに合わせたデザインであることは大切です。
デザイン面でのリニューアルの場合はプラットフォームを変更せずともできますが、お手軽に最新のトレンドのデザインにしたい場合は、ASPサービスなどを利用するのも1つの方法かもしれません。
判断材料 3. レスポンシブ対応ができていない
デザインと共に検討材料に含めるべきは、スマホやタブレットで適切に表示されるか、つまりレスポンシブ対応が出来ているかどうかです。
いわゆる B to C、つまり個人向けサイトの場合は約8割のユーザーがスマホで閲覧している、というデータもあります。
実際の購入はパソコンからする人も、購入前の情報収集ではスマホでする、という方も多いのではないかと思います。
それで、スマホで適切に閲覧できるようになっているか、操作がしやすいかなどはとても重要です。
こちらもデザイン面での検討と同様、特にプラットフォームを変更しなくても対応は可能です。今のご時世、ほとんどのプラットフォームがレスポンシブ対応できるようになっていると思いますので、適切なプランなどを選択することができるでしょう。
判断材料 4. 運用コストが高い
ASPサービスを契約しているならその運用コストが判断材料になるかもしれません。
また、ASPを利用していなくても、メンテナンスコストやアップデートコストがどれくらい発生しているのか、なども検討ポイントの1つです。
レンタルサーバーを契約している場合はそれらも判断材料になるでしょう。
決済手数料が安い決済サービスを導入したいが、今のプラットフォームでは導入できない、ということもあるかもしれません。
決済手数料を含めたランニングコストは、意外と高額になっていることがあります。是非リニューアルを検討する際の判断材料に加えましょう。
自社ECのサイトとASPの運用コスト比較について詳しく知りたい方は下記ブログをご参考ください。
BRISKブログ:自社ECサイトのメリット・デメリット
判断材料 5. 企業ブランドイメージの刷新
コーポレートサイトのリニューアルに伴ってECサイトもリニューアルする必要があるケースもあることでしょう。
ロゴやテーマカラー、基調とするテイストが変わるような大きな更新の場合は特に、ECサイト側も同時リニューアルが必要なケースも多々あります。
判断材料 6. システムの老朽化
どんな素晴らしいシステムでも時代の経過と共にアップデートが必要になってきます。
小さな改修で済むこともありますが、大きな改修の際にはリニューアルせざるを得ないケースもあるかもしれません。
ASPサービスを契約しているなら、そのシステム面での改修のためにリニューアルを余儀なくされることがあります。
これはフルスクラッチで作成していても、ECパッケージをカスタマイズしていても必ずいつかは発生する出来事です。
リニューアルするべきタイミングを計る1つの指針になると思います。
ECサイトのリニューアルを進める7つの手順
情報を集めて分析し、実際にリニューアルをすることが決定した後は、どのように動いていくことができるでしょうか。
ECサイトのリニューアルの進め方を7つの手順に分けて説明します。
手順 1. サイトリニューアルのプロジェクトチームを作る
ECサイトのリニューアルはいろんなことが関係してくる大きな作業です。
全体を調整しながら進めることができるリーダーを決めることができるでしょう。
この後のリニューアル手順を社内で行うにしてもある程度外部委託するにしても全体を総括しながら意思決定できるリーダーがいるとスムーズにリニューアルが進んでいきます。
社内でリニューアルを進めるなら、デザイン面、システム面で実行に移せるメンバーが必要でしょう。
ECサイトは複雑な処理なども関係しますしセキュリティ面で万が一のことがあってはいけませんので、システムを担当するのはある程度経験を積んだエンジニアの方が望ましいと言えます。
手順 2. 目的を再確認し、リニューアル後のECサイトを具体的にイメージする
「判断材料」を集めて検討した「なぜリニューアルするのか」について再度明確化し、リニューアル後にどんなサイトにしたいのかをイメージします。
ここがぼやけてしまうとリニューアルチームメンバーの動きにも混乱が生じるかもしれませんし、リニューアル後に思っていた効果が得られないもしれません。
箇条書きなどで目的を書き出しておくことも具体的にイメージする助けになるかもしれません。
手順 3. 予算とスケジュールを明確にする
やりたいことがリストアップされても、費用面でやりたいこと全てを詰め込むことはできないかもしれません。
外部委託する場合には特に予算感が重要です。それによって予算の中で最大限効果を発揮できるような提案をもらえると思います。
またシステムの老朽化などが大きなリニューアル要因の1つにあるのなら、あまり長期的なスケジュールは実際的ではないかもしれません。
早くリニューアルする必要があるのならASPを利用するなど、構築方法にも影響してくることでしょう。
手順 4. ECサイトの構築方法を決める
予算とスケジュールが決まったら、ASPサービスを利用するのか、パッケージを利用するのか、フルスクラッチで行うのか、構築方法を考えていきます。
各構築方法のメリット・デメリットについては以下のブログなども参考にしていただけます。
次の手順の「開発会社を決める」部分と関連してくるところもあり、開発会社の得意不得意もあるので、併せて検討することも1つの手です。
サイトの運用の手間なども検討に含めることができるでしょう。
手順 5. 開発会社を決める
自社開発でない限り、予算やスケジュール・構築方法がある程度決まってから、それを実装できる開発会社を選定します。
全てが明確に決まっていなくても良いですが、ある程度の目安が決まっていないと開発会社側としても困ってしまうので、ここまでの手順をしっかりと踏んで適切に情報を伝えることができるようにしておく必要があります。
手順 6. 開発開始後も定例会で進捗を確認する
ECサイトのリニューアルは1,2週間で完成するものではありません。数か月、時には1年以上かけるリニューアルもあることでしょう。
日頃の調整はプロジェクトリーダーが進めますが、定期的に進捗を確認する場を設けるのが望ましいと言えます。
全体のスケジュールの中でだいたいここまでには何をする、という大まかなマイルストーンも事前に作成しておき、問題なくプロジェクトが進んでいるのかそれとも遅れているのかを確かめることができます。
遅れているのならプロジェクトチームにメンバーを増やしたり、時には全体のスケジュールも調整したりなど、対応策を考える必要がでてきます。
手順 7. テスト運用開始
忘れてならないのはこのテスト運用期間です。この期間もしっかりとスケジュールに入れましょう。
テスト運用することで、開発システムの問題点が見えてくることもありますし、オペレーターが使いやすいように細かな調整をここでしておくと、実際の運用が始まった時にオペレーターの毎日の負荷を下げることができます。
ECサイトの売上を伸ばす、リニューアルの5つのポイント
さて、リニューアルのための7つの手順を確認して全体のイメージをつかむことが出来たでしょうか。
最後に、ECサイトの売上を伸ばすリニューアルにするためのポイントを紹介します。
ポイント 1. 現ECサイト運営者の意見を取り入れる
今のサイトの良いところも悪いところもしっかり把握しているのが現ECサイト運営者です。
率直な意見を挙げてもらい、改善案をリストアップしてもらいましょう。
ただ、それをそのまま当てはめても売り上げアップに直結するとは限りませんので、開発会社やコンサルタントなどプロの目線でもアドバイスをもらい方向性を決めるのが最善です。
ポイント 2. 考えうるリスクを洗い出し対策する
売り上げが下がる可能性を出来るだけ減らしておくのも売り上げアップの重要な対策です。
少し地道と思える施策ですが、トータルで考えるととても大きな効果のある対策です。
リスク対策がしっかりしているサイトはユーザーも安心して買い物ができます。
経済産業省がECサイトのセキュリティガイドラインを発表していますのでそれに沿った対策をすることができるかもしれません。
以下のブログで詳しく説明しています。
BRISKブログ:ECサイトのセキュリティについて
ポイント 3. UI・UXを意識したデザインにする
UI・UXがしっかりと考慮されているデザインの場合は、ユーザーが余計なことに頭を使わずに買い物にだけ集中することができます。
余計なストレスを与えないので、それだけでサイト内を回遊してもらいやすくなりますし、リピート購入の可能性も高まります。
ECサイトのデザインについての解説はこちらに詳しく書かれています。
BRISKブログ:売れるECサイトのデザインとUI/UXを考慮した設計
ポイント 4. SEOに強いサイトにする
ほとんどのユーザーはインターネット検索によってECサイトにたどり着きます。
そう考えるとSEOに強いサイトにしておくことは必須と言えます。
サイトマップやサイト構造を良く整理されたものにしておくこと、適切なHTMLマークアップやメタ情報の記載など基本的な事柄をしっかりと押さえておく必要があります。
また、通常のサイトとは違いECサイトならではの特徴と言えば、商品の入れ替わりが発生する点です。
新商品だけでなく、販売終了になったり欠品になった商品もあることでしょう。
販売終了の商品ページを削除せずに類似商品や口径商品ページに誘導してあげる、などの細かい対応も効果的です。
ポイント 5. コンテンツマーケティングを取り入れる
ユーザーは商品を買う際に写真と説明だけを見るわけではなくいろんな角度から調査してから購入することが多い傾向にあります。
それで商品について説明するコンテンツを作成することでユーザーの購入を後押しすることができます。
特に実際に使ってみた感じが伝わるようなブログやインスタなどのSNSとの連携は効果的でしょう。
口コミ機能や点数などもコンテンツマーケティングの1つです。これらはユーザー発信のコンテンツと言えるでしょう。
コンテンツの更新が定期的になされているECサイトはユーザーにとっての安心につながります。
上手に利用して売り上げアップにつなげていきましょう。
まとめ
ECサイトのリニューアルは一大プロジェクトですが、ECサイト経営者が必ず通る道とも言えます。
リニューアルする目的や手順、ポイントをしっかり押さえて、最大のパフォーマンスを上げるリニューアルをしたいものですね。
BRISKではECサイト制作を得意としています。
デザインからシステム構築、運用のサポートなど幅広くお手伝いしています。どうぞお気軽にお問い合わせください。