ECサイトを構築するうえでECプラットフォーム選びは競争力を持つECサイトを構築するためのカギとなります。
今回はECプラットフォームの種類とその特性、選定する際のポイントを紹介していきます。
ECプラットフォームとは?
ECプラットフォームとは、ECサイトを構築するためのベースとなるソフトウェア、システムのことです。
商品の登録から注文の受付、決済処理に至るまでの一連の流れをサポートする機能を持っています。
ECプラットフォームにはたくさんのサービスがあります。
自分の希望に適したプラットフォームを選択するために、作りたいサイトのイメージをしっかりと決めたうえで、それぞれのサービスの特性と照らし合わせていきましょう。
ECプラットフォームの種類
ECプラットフォームには様々な種類があり、大きく分けると、「ECモール」「ASP/SaaS」「簡易EC」「クラウドEC」「オープンソース」「パッケージ」の6種類があります。
各ECプラットフォームにはそれぞれメリット・デメリットや得意分野を持ち、費用にも幅があります。それぞれの特徴について解説していきます。
ECモール
ECモールは、多数の企業やショップがオンライン上に集まったECプラットフォームです。
ECモールは初心者でも簡単に販売を始めやすく、低コストで集客しやすいというメリットがあります。
自社ECの場合、マーケティング活動を行い、自ら集客しなければならないため、既存のユーザを集客できるのは大きなメリットです。
一方、ユーザはモール内の商品を比較して購入するため、価格競争になりやすかったり、売上手数料が高いというデメリットがあります。
また、商品の見せ方などは、モールのルールに従う形なので、ブランドの特色を出しにくくなります。
代表的なモールECだと、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングなどがあります。
ECモールはさらに、マーケットプレイス型とテナント型の2種類に分かれます。
マーケットプレイス型
モールが商品の取引を仲介し、購入者と出店者の間に入る形です。
商品の取り扱いや配送は出品者が行い、決済や、カスタマーサポートはモールが担当することが多いです。Amazonが代表的です。
管理・運営の手間をかけず簡単に商品を出品したい方におすすめです。
テナント型
各店舗が独自のショップぺージを持ち、商品の取り扱いから配送、カスタマーサポートまでを担当します。運営側はあくまでもスペースを提供するだけです。楽天市場が代表的なサービスです。マーケットプレイス型より自社ECサイトのブランディングを効果的に行うことができます。
ASP/SaaS
カートASPはクラウド上のシステムを利用してECサイトを構築できるプラットフォームです。ECサイトに必要な基本機能が備わっています。そのため、ECサイトの運営を短期間で開始することが可能です。後述するクラウドECやパッケージより安価で開発できます。
ECサイト向けのASPは、ASPカート、Sass型のショッピングカートなどと呼ばれます。
クラウド上でECサイトを構築するため、常時アップデートされたシステムの利用ができます。
種類によっては売上に伴って手数料が増えるものや、追加機能・オプションが高額なものもあります。
初めてEC事業に取り組む企業や、小規模でECサイト運営を行いたい企業に向いています。
デメリットとしては、カスタマイズ性が低いこと、デザインの自由度が低いことがあげられます。
代表的なものとして、Shopify、makeshopなどがあります。
ASPカートについての詳しい記事はこちらをご覧ください。
ECECサイトを構築するASPカートを比較!ASP構築のメリットやデメリットも解説
簡易ECサービス
登録料や月額料金などは無料で商品が売れたときのみ手数料が発生するECプラットフォームです。
ASPカートの簡易版であるため、簡易ECサービスとASPサービスは同義語とされることも多いです。
アカウントを作成すればだれにでもすぐにECサイトを開設できますが機能やデザインにある程度の制限はあります。
小規模や個人で運営するという事業者の方におすすめです。
クラウドEC
こちらもASPカート同様、ECサイトに必要な機能を備えているプラットフォームです。
ASPカートと似ていますが、カスタマイズ性が高く、外部連携がしやすいです。
クラウド上でECサイトを構築するため、常に最新のシステムが利用可能で、自社サーバを用意する必要がないこともASPカートと同様のメリットです。
しかし、導入費用は安いとは言えません。中規模から大規模のECサイトがクラウドを導入することが多く、月額数十万円のランニングコストが必要です。既にECサイトがある程度育っているという事業者におすすめです。
また、クラウドECはソースコードを開示していません。そのため自社で保守管理をしたい場合は不向きです。
オープンソース
オープンソースとは外部に公開されているコードを使ってECサイトを構築する方法です。
簡単にカスタマイズが可能で、一から構築していくよりも大幅なコストダウンが可能でカスタマイズの自由度も高いです。
ただ、カスタマイズには、自社の希望に合わせて書き換えるための高度なプログラミング技術が必要です。
またその他のデメリットとして、トラブルの際サポートを受けることができないことや、ソースが公開されているためサイバー攻撃の標的になりやすいことが挙げられます。
社内のリソースに問題がない企業や、費用を抑えて、オリジナルのECサイトをつくりたい企業におすすめです。
パッケージ
ECサイトに必要なカートや商品管理などの機能が全般的に含まれているサービスです。
フルスクラッチとは異なり、構築期間を短くしたり、コストを縮小したりしながら、自社の事業形態に合ったサイトの構築ができます。
カスタマイズ性はASPカート、パッケージより高く、企業の独自性を存分に発揮したECサイトが仕上がるでしょう。さらにソースコードが公開されていないため、セキュリティ面でも強さがあります。
デメリットとしては初期費用が割高なところです。ECパッケージは購入後さまざまな設定や構築が必要です。社内に専門知識やスキルを身に着けた人材がいなければ構築が難しく、外注するとなるとさらに費用がかかります。また、ECパッケージはクラウド型ではないため、数年後には機能がECサイトのトレンドに合わなくなったり、改修が必要になり費用が発生することがあります。
ECプラットフォーム比較要素
制作期間が短く、費用を抑えやすい代わりに機能・デザインのカスタマイズ性が低いのはECモール・ASP/Sass・簡易ECサービスです。
これらの3つは決済手段に限りがあるため、希望の決済手段があるか利用前に確認が必要です。
また、売上が増えるほど手数料も増えるので1億円を超える規模ならクラウドEC、オープンソース、パッケージを検討するとよいでしょう。
反対に、制作期間が長く、費用が代わりに、デザイン性のカスタマイズ性が高いのはクラウドEC、オープンソース、パッケージです。
費用や機能性、集客力など様々な要素を考慮してバランスの良いECプラットを選びましょう。
初期費用 | 月額費用 | 年商目安 | 拡張性 | 製作期間 | 他システム連携 | サーバ | デザイン性 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ECモール | デザイン性 | 0~5万円前後 | 数百~数千万円 | △ | 短い | × | 不要 | △ |
ASP/Sass | 0~30万円 | 0~10万円 | ~1億円 | △ | 短い | △ | 不要 | △ |
簡易EC サービス | 0~30万円 | 0~10万円 | ~1億円 | △ | 短い | △ | 不要 | △ |
簡易EC サービス | 0円~ | 0円~ | 10~数百万円 | △ | 短い | △ | 不要 | △ |
クラウドEC | 300万円~500万円 | 10万円~ | 1~10億円 | ◎ | 短い | ○ | 不要 | ○ |
オープン ソース | 0円~ | 5~30万円~ | 1~5億円 | ◎ | 長い | ○ | 必要 | ○ |
パッケージ | 500万円~ | 30万~100万円 | 1億円~ | ◎ | 長い | ○ | 必要 | ○ |
ECプラットフォームの選び方
どのプラットフォームを選ぶかは、サイトの規模、サイトを立ち上げる目的などによって大きく変わります。
以下の要素を参考に自社とマッチしたプラットフォームを選定しましょう。
意図しているデザイン構築が可能か?
デザインのカスタマイズ性が乏しい場合、ブランドイメージとかけ離れたデザインのサイトになる可能性があります。
モールサイトや簡易ECサービスの場合、デザインに関しての制限が多いため、デザイン性は大幅に低くなります。
一方、オープンソース、パッケージはデザインの自由度が高いため、自社のブランドイメージを明確に伝えることができます。
機能拡張性があるか?
事業の成長に伴い、カスタマイズしたい機能が出てくることがあると思います。サイト改修後に機能の追加ができるかどうか確認しておきましょう。
やりたいことが基本的なECサイトに求められるものだけの場合はASPカート、簡易ECサービスが適しています。
一方、やりたいことが複雑で自社独自の機能を搭載したい場合は、オープンソースやパッケージを検討することをおすすめします。
ビジネス規模を考慮せずに選んでしまうと、将来使いたい機能を拡張できないなど問題が発生するため注意してください。
予算との兼ね合いは?
ECサイトを運営するには以下のような費用がかかります
・初期費用・月額費用
・セキュリティ強化にかかる費用
・販売手数料
・標準機能以外を追加する場合のオプション料金
・サーバのメンテナンスやアップデートにかかる費用
モール型やASP/Sass、オープンソース型は比較的に安価にECサイトを構築できますが、
従量課金制の製品は、ECサイトの売り上げ規模が大きくなるとシステム利用料が高額になるものもあるのでチェックが必要です。
コストを抑えることを考えるあまり、自社のブランドイメージや販売戦略に合わないものを選んでしまうと、ブランドの成長には遠回りになってしまいます。
機能、デザイン、集客力、などの要素がコストと釣り合うか重視して、バランスンの良いECプラットフォームを選びましょう
サポート体制などは万全か?
ECサイトで提供されるサポートとは以下のようなものです。
・プラットフォームの提供
・機能拡張
・デザイン作成
・マーケティング
・広告運用
・障害対応
これらはどこまで対応しているかがベンダーによって異なるので、必要なサポート体制が整っているかをしっかり確認しておく必要があります。
また、ECサイトは必ず個人情報を取り扱うため、迅速な障害対応は重要なポイントの一つです。そのようなサポート体制が十分でない場合、トラブル時に機会損失や顧客からの信用を失くす要因になります。
さらに、サイトの運営で不明な点が出たときに、すぐに相談・対応できる窓口があるかどうかもポイントの一つです。
チャットやメールだけでなく電話でのサポートが受けられるかどうかも確認しておきましょう。構築段階からサポートまで一貫してくれるチーム体制だと、トラブルが発生した場合でもスムーズに対応してくれることもあり、好ましいといえます。
オープンソースのようなECパッケージではサポートが受けられない場合があるので要注意です。
自社が導入しいてる別システムとの連携は可能か?
基幹システム・ツールと連携させることで、ヒューマンエラーを抑制したり、工数を削減できます。
例えば、商品の販売情報を自社システムと連携できればリアルタイムで在庫数が把握できるため、注文が入った際に在庫数が不足するというトラブルも避けられます。
顧客情報やユーザが商品を購入するまでのプロセスなどECサイトから得られるデータをマーケティング施策に活用すると、売り上げの増加にもつなげやすくなります。顧客データと購入履歴のデータなどを他社システムと連携させたりして、データの統合管理と活用ができるECプラットフォームの導入が効果的です。
セキュリティ性を確保できるか
ECサイトでは運営するにあたり、以下のようなセキュリティリスクがあります。
・情報漏洩
・Webサイトの改ざん
・クレジットカードの不正利用
・DDos攻撃
・ソフトウェアの脆弱性
ECサイトでは個人情報など重要な情報を扱います。
一度でもセキュリティインシデントがあると、損失は数千万円にのぼり、会社の信用を失います。
ECプラットフォームを提供するベンダーがセキュリティリスクを回避するための対策を講じているか、万が一の時、サポートが受けられるか、発生時の対応手順を確認しておきましょう。
ECサイトで必要なセキュリティ対策は以下の記事を参考にしてみてください
ECサイトのセキュリティガイドラインの概要と必要な対策
まとめ
今回はECプラットフォームについて取り上げました。
ECプラットには様々な種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
自社の目的やニーズに合ったプラットフォームを選択することで効果的なECサイト運営を構築しましょう。
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