・動画制作をやってみたいけど、どのソフトを使えばいいのか分からない
・あの動画、どのソフトで作ってるの?
・After EffectsとPremiereどっちを使った方が就職に有利?
動画編集をやってみたい、と思ったらほぼ間違いなく選択肢に出てくるのが「After Effects(アフター エフェクツ)」と「Premiere(プレミア)」でしょう。
どちらもAdobeが誇る動画編集ソフトですが、その違いが何なのか知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では両ソフトの違いを、機能面や実際に動画を作る時の操作感まで徹底的に比較しました。
また「ぶっちゃけどっちを使えたら就職有利なの?」といった率直な疑問までお答えします。
目次
まずはAfter EffectsとPremiereの違いをざっくりと解説します
両者のソフトは動画編集ツールとしてまとめられがちですが、そもそも設計の思想が異なっており、得意とする領域が異なります。PowerpointとExcelくらい違うかもしれませんね。
どんな動画を作りたいかによって適したツールが変わってくるので、まずはざっくり表にまとめてみました。
After Effects | Premiere | |
---|---|---|
どんな動画編集ツールなのか | レイヤーベース | タイムラインベース |
得意なこと | ひとつの動画素材にいろいろな効果をつける | 複数の動画素材をつなぎ合わせる |
食べ物に例えると | どんぶり | コース料理 |
学習コスト | 高め | 低め |
After Effectsは単一の動画素材の上に色調補正や特殊効果といった、他の素材をのせていくイメージです。
ごはんに具材をのせて、トッピングをのせて、最後にたれをかける、どんぶりみたいな感じです。
また、IllustratorやPhotoshopを使っている方であれば、その編集画面に近いよ!というとわかりやすいかもしれません。
対してPremiereは時間軸に沿っていろいろな素材をつなぐツールになります。最初に前菜が出てきて、その次は吸い物、メインが出てきて最後にデザート…といったコース料理だと思うといいでしょう。(この「どんぶり」と「コース料理」の違いは後ほど再び出てきますので頭の片隅に入れておいてください…!)
語弊はありますが…手っ取り早く「オレ、動画編集できるぜ!(ドヤっ)」と言えるようになりたければ、Premiereから手を付けるのがおすすめです。筆者もそうでした(笑)。
Premiereは時系列に沿って動画を編集するように設計されており、After Effectsと比べて直感的に動画編集できるからです。
このあたりを踏まえつつ、After EffectsとPremiereの違いを詳しくみていきましょう。
After Effectsってどんなツール?
After Effectsは動画編集と合成が得意なツールです。素材にかけられるエフェクト(特殊効果)が豊富で、細かい調整も思いのまま。
3D映像やアニメーション、モーショングラフィックス(文字やイラストなどに動きを付けてアニメーションにしたもの)の制作に向いています。
また、映画のいわゆる「3D」や「CG」もAfter Effectsが得意とするところです。
そのためAfter Effectsは、弊社のようなWeb制作会社から、映画やCMの製作を専門とするような映像制作会社まで幅広い現場で使われています。
どんなシーンで使われるの?
After EffectsはPremiereと比べて長時間の動画を作成するのには向かないので、数十秒~数分程度の短めのカット(オープニングとか切り替えのムービーなど)の製作で使われることが多いです。
長時間の動画を作成する場合はPremiereの併用がおすすめです。(詳細は後述します!)
After Effectsでできること
いろいろ書いてきましたが百聞は一見に如かず。サンプルをご用意しました。
3D
モーショングラフィックス
また、色を補正したり動くものにモザイクをかけたり画像などを追従させたり…といった編集もAfter Effectsに軍配が上がります。
After Effectsが得意なこと、苦手なこと
ひとくちに動画編集ソフトといっても得意なこと不得意なことがあります。After Effectsで作成するのに向いているような動画、反対に向いていない動画とはどんなものでしょうか。
得意なこと
先述しましたが、After Effectsは単一の素材に特殊効果をかけることを得意としたツールです。
ロゴをフェードインさせたり回転させたり…といったシンプルめな動きはPremiereでもできますが、調整のしやすさはAfter Effectsが勝ります。
「このタイミングで」「このくらいの調子にしたい」みたいな設定がAfter Effectsのほうが設定しやすいんですよね。
また、エフェクトの種類がPremiereと比べて圧倒的に多いので、まさに「あんなことやこんなこと」ができちゃいます。
苦手なこと
反対にAfter Effectsは複数のシーンをつなぎ合わせるような動画は向いていません。また特殊効果を多くかけ、長時間に及ぶような動画も、After Effects単体での制作はおすすめできません。
長時間の編集に向いていないと言われる理由は、「Premiereと比べてレンダリングに時間がかかるから」だと言われています。
もしレイヤー・エフェクトを多く重ねていたり、3Dやモーショントラッキング(動いているものに追従する機能)などパソコンへの負荷が大きい処理をしたりすればレンダリング(データを再生できる状態に変換する作業)の負担は半端ないんですね…!
作成する動画が長時間になればなるほどなおさら負荷はアップしますよね。
ちなみに筆者が社用パソコンで5秒程度の3D動画を作成したときは、1回の修正で体感で2~3分くらいレンダリングに時間がかかりました。やはり3Dは負荷が半端ないです…!
後ほど詳しく説明しますが、RAMのスペックが低いと結構きついです。。
After Effectsだとエフェクトを少し変えただけで、レンダリングがやり直しになるので、どうしても編集に時間がかかりがちです。また、エフェクトを付けすぎるとデータが欠損することがあるようなので、After Effectsでの動画編集をメインにするのならPCのスペックはこだわったほうがいいでしょう。
また、音声系のエフェクトは少ないので「ナレーションのピッチを変えたい」「ノイズを除去したい」という場合はPremiereの方が確実です。
・After Effectsのオーディオエフェクト一覧
・Premiereのオーディオエフェクト一覧
After Effectsのまとめ
After Effectsの良い点悪い点をまとめました。
- 決まった素材にいろいろな効果をつけるのに向いている
- 「動き」「色」などの編集はエフェクトが豊富
- 時間軸に沿った編集や完成時間が不明な場合、少しやりにくい
- 3Dなど負荷が大きい処理は高スペックのPCがないと厳しい
Premiereってどんなツール?
PremiereもAfter Effectsと同じくAdobe製の動画編集ソフトですが、複数のカットをつなげたり、テロップを入れたりするのに向いるツールです。
特殊効果を入れることもできますが、どちらかと言えばカットの切り替えが多かったり撮影時間が長かったり、最終的な再生時間が未定だったりする場合におすすめです。
どんなシーンで使われるの?
音声系のエフェクトがあるので、ドラマから映画、YouTubeやVlog投稿者にも利用者が多いです。
ちなみに 映画「シン・ゴジラ」ではPremiereが使用されているそうです。大ヒット映画が作られたツールと同じものを使えるなんてなんだかわくわくしますね!
「シン・ゴジラ」は撮影してから編集するまでの期間が、通常の映画製作にしてはかなり短く、複数人で分担して進めていく必要がありました。そのため、複数人で「経済的に」かつ「使いやすい」ツールを探していたそうです。
また、映画用のカメラとiPhoneではフォーマットが異なりますが、その違いを気にせず読み込んで編集できるものを…との結果、Premiere Proが採用されたようですね。
参考:「シン・ゴジラ」。編集は庵野監督の製作スタイルを考慮してPremiere Proを活用
Premiereでできること
こちらもサンプルをご用意しましたのでご覧ください。
画面や素材の切り替えが多いものや、シンプルな動きのものはPremiereの方が直感的に扱えると思います。
PV風
アニメーション風
ニュース番組風
余談ですが、素材がいいとつなぎ合わせるだけでも結構サマになりますよね…!
動画素材は以下から入手しましたが、クオリティの高い動画が多く、会員登録なども不要なので気軽に選ぶことができておすすめです!基本的に商用でも使用できるようです。(ただしクレジット表記するのが望ましい)
Free Stock Videos, Download Royalty Free Videos – Mixkit
Premiereが得意なこと、苦手なこと
Premiereで作成するのに向いているような動画、反対に向いていない動画とはどんなものでしょうか。
得意なこと
Premiereではタイムライン上に素材を並べていき、それをカットしたり他の素材とつなぎ合わせることが得意です。
After Effectsだと不要なシーンをカットしたり、複数のクリップの行き来がやりにくいですが、Premiereだとそれが直感的にサクサクとできます。
時間軸に沿って編集するようなUIなので、できばえに応じて再生時間を決めたいな、という場合はPremiereのほうが融通がききます。
苦手なこと
特殊効果系のエフェクトはAfter Effectsにしかないものもたくさんなるので、VFXばりの効果をガンガン使いたい!という方はPremiereでは物足りないことがあるかもしれません。
ちなみにVFXとは現実には見ることのできない画面効果を実現するための技術のことを言います。
また、Premiereでも色調補正や動画の追従処理はできますが、実際に触ってみると、性能としてはAfter Effectsのほうが優れている印象です。
モザイク処理や特定の要素を拡大する、といった動きのときはAfter Effectsのほうがよさそうですね。
Premiereのまとめ
Premiereの良い点悪い点をまとめました。
- 複数のカットをつなげたり、長時間の動画を作成するのに向いる
- 直感的にサクサクと操作ができる
- あまり効果をつけられないので物足りなさを感じる
- 色調補正や動画の追従処理はAfter Effectsよりも劣っている
動画編集の気になる疑問にズバッとお答えします!
ここまでお読みいただいて、After EffectsとPremiere、それぞれが得意なことがお分かりいただけたと思います。
それでもなお、動画編集について疑問がある人もいるかもしれません。
そんなあなたに捧げるQ&Aコーナーです!
After EffectsとPremiere、将来性があるのはどっち?
手っ取り早く動画編集を覚えたいのであればPremiereから入るほうがおすすめです。
時間軸に沿って作られたUIなので操作しやすいですし、YouTube人気で動画編集の依頼も増えていますが、それらはほとんどPremiereが操作できれば十分対応できるものだからです。
また全体的な動画編集者の数も増えてきているので、便利なテンプレートや素材も増えてきています。それらを組み合わせるだけであればPremiereが使えればOKなので、まずはPremiereで動画編集のエッセンスを学ぶとよいでしょう。
ただ、将来的にプロの動画クリエイターになりたい、映画やCMを作れるようになりたいというのであればAfter Effectsが使えるようになることが望ましいでしょう。
単純にPremiereを使えるという人口より少ないので差別化を図る意味でも就職にプラスに働きます。
ちなみに、一番ベストなのはもちろん「どちらも使える」です。
片方だけよりも両方使えれば掛け算になって選択肢がググっと広がりますし、片方をある程度使えるようになれれば、もう片方の学習コストも下がるのでおすすめです!
Adobe製品以外で似たものってある?
「Adobeの製品は少し高い…」「まずはどんなことができるのか試してみたいから無料でやりたい」という人もいるかもしれません。
無料で試してみたい、というのであればAdobe製品も試用期間があり30日間は課金されることはありません。
そこでAfter EffectsやPremiereを使ってみるとよいでしょう。
試用期間中は全製品使えるので、IllustratorやPhotoshopとの連携を試すのもいいですね!
それでもなおサブスクリプション(毎月課金されるもの)は嫌だったり、無料でどうにかできないのかという場合は、以下を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
After Effectsの代替品
もとは映像の色を加工する「カラーグレーディング」を行うツールだったのですが、改良を重ね機械学習を採用し、無料といえども第一線のプロに愛されるツールとなっています。ちなみにカットもできるのでPremiereの代替にもなります。
3DCGソフトなので、3Dに特化した映像を作りたい場合は検討するとよいでしょう。
Premiereの代替品
無料で使えて、拡張性も高いソフトです。大きな特徴は「とにかく軽い」こと。作者曰く「WinXP、Win7等で動作すると思います。」とのことなので、イマドキのパソコンであれば快適に使えるのではないでしょうか。
Avid Media Composer | First(無料)
多くのハリウッド作品がAvidのツールから生み出されたそうです。そんなAvidのシリーズである「First」は無料ながらハイクオリティな動画編集を可能にします。
他にも無料あるいは買い切り型の動画編集ソフトはありますが、サブスクリプション型のものと比べてサポートが手薄だとか、マイナーなものを選ぶと操作方法やテクニック面での情報が少ないなどのデメリットもあります。
また、動画編集するのであれば動画素材だけでなく、イラストやロゴ、テキストなどを扱うことも多いはず。そんなときにAdobe製品であれば連携が簡単なので、他のソフトを使うより多くの恩恵を受けられるでしょう。
動画編集ソフトを使うのに必要なPCのスペックは?
すでに持っているパソコンでAfter EffectsやPremiereを導入する場合は、公式で最小/推奨スペックについて公開されているので参考にしてみるといいでしょう。
After Effects:After Effectsの必要システム構成
Premiere:Premiere Pro 必要システム構成
スペックが満たない場合はこちらのページを参考にして最適化してみましょう。
参考:Premiere Pro/After Effectsに合わせたシステムの最適化
なお「今のパソコンじゃとても無理!新しいのを買わないとダメだ!」という場合は、特に以下の項目をチェックしておくとよいです。
PCの司令塔!CPU
一番重要なパーツがCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)です。中央で処理する装置なので、PCの部品の中で一番スペックに関係します。
「インテル、入ってる」というCMでおなじみのアレですね(令和になってからあまり見かけなくなりましたが…)。
さらにCPUのスペックを決めるのが「クロック周波数」「コア数」「スレッド数」などがありますが、ひとまずコア数に着目して、できるだけコア数が多いPCを選ぶとよいでしょう。
CPUのスペックについてより詳しく(でもわかりやすく)知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
参考:CPUのクロック数やコア数とは?シェフに例えてみる
意外と大事!メモリ
ずばり、作業スペースです。いくらCPUの性能が良くても、作業スペースが狭ければ元も子もないので、CPUの次に重視して選ぶパーツになるでしょう。
増設できるので(限度はあります)、将来的に「どこまで増設できるのか」を意識しつつ選びましょう。マルチタスク時の性能にも影響するので、複数のアプリケーションを開いて作業する場合は要チェック項目です!
ちなみに、筆者のPCはRAMが16GBと、After Effectsだとギリギリ使えるかなというレベルでした。これだと要素を回転させる程度だと問題なかったのですが、3Dやトラッキング処理はかなり重たくなってしまい1フレーム処理するのに30秒くらいかかるときもありました…。
「Premiere Pro/After Effectsに合わせたシステムの最適化」だと“少なくとも”32GB、128GB以上を推奨とあるので、出来る限りRAMはケチらず最低でも32GBを目指した方がよいと思います。
After Effectsなら要チェック!グラフィックカード
グラフィックカード(グラフィックボード、グラボ、GPUなどと表記されることもあります)は、映像の高解像度化が進む現状では見落とせない項目です。
特にAfter Effectsを中心に作業する場合は高めのスペックのものを選んだ方がいいでしょう。
忘れちゃいけない!外部端子
また、細かい点ですが撮影データを使う場合、どうやって受け渡すかも考えたほうがいいです。
特にmacだと、新しい機種ではUSBやSDカードを挿入するスロットがない場合もあるので注意して選んだ方がいいでしょう。
おまけ:少しでも快適に作業するには?
ここで、簡単ですが少しでも動画編集を快適にするTipsを記しておきたいと思います。特にプロキシは覚えていて損はないはずですよ…!
・字幕を入れる作業はできるだけ後にやる
こちらの記事で実証されているのですが、意外とテキストって重たいんですね…。なので特にPremiereで作業する方は先にカット作業を終わらせておいて、字幕を入れる作業と行ったり来たりしないようにしましょう。
参考:[Premiere Pro]テキストって実はかなりCPU使ってる事が判明 Intel Core i9で検証編
・プロキシを活用する
プロキシ(proxy)とは「代理」を意味する言葉で、動画編集においてはオリジナルの素材に対しての「代理ファイル」という意味合いになります。
オリジナルのファイルと違って軽量化されたファイルなので、作業中はそれを編集すると、その変更がオリジナルにも適用されるようになる…というわけです。
詳しくは”プロキシファイル 作り方”などで検索してみるといいでしょう。
実際に作ってみた
ここからは実際にソフトを触りつつ、実際の画面を見つついきましょう。
After EffectsとPremiereを比較するために同じ構成の動画をそれぞれのソフトで作成してみました。
仕上がりはだいたい同じなのですが、注目すべきはUI(操作画面)です。
After Effectsは「決まった視点」で「決まった素材」を編集するのに適したツールです。そのため、最初に再生時間の尺を決める必要がありますし(※1)、「このシーンいらないな」といってカットすることもできません(※2)。
また、各エフェクトの設定はそれぞれのレイヤーのメニューを開くことで設定するのですが、今回のようなレイヤーがたくさん積み重なった場合、地味に見づらくなります…。
※2:レイヤーをコピーして、それぞれの再生時間を調整するなどで、疑似的にカットすることは可能です。
Premiereについては「さまざまな視点」で「いろいろな素材」をつなぎ合わせるのに適したツールなので、再生時間の尺は作りながら柔軟に決められますし、動画素材の不要な箇所をカットすることも簡単です。
エフェクトは専用のウインドウ内で設定するので、タイムラインの操作とエフェクトの操作がエリア分けされているのも地味に操作しやすくてありがたいところです。
このあたりを踏まえて動画をご覧ください!何の変哲もない回転寿司の様子です。
寿司の大きさが違うのはスルーしてください。あと、決して寿司じゃないものが映り込んだりはしていない…です。
After EffectsでもPremiereでも、基本的な作り方は以下の通りです。
・背景(回転寿司のレーン)を用意する
・表示するタイミングを調整する
・素材(皿・寿司)に動きを付ける
皿と寿司が別々の素材だったので、レイヤーがかなり積重なってしまいました。。
(画像はAfter Effectsのキャプチャです)
アニメーションといえども基本的な動きなので、どちらを使っても動きを付けるのは簡単です。
先に表示するタイミングを設定してから動きを付けるのがポイントです。逆だと寿司が皿から飛び出しレーンを逆走するなど、予期せぬ動きをします…。
表示するタイミングを調整する際に、After Effectsだとなかなか思い通りのタイミングに素材を配置できなかったりしました。
作成にあたっていろいろと比較してみました
仕上がりを見ていただいたと思いますが、実際の操作感や、実現したいと思うことを実現させるにはどうしたらいいのか?
このあたりを比較してみましょう。
3D表現
圧倒的にAfter Effects。Premiereでは文字を3D「っぽく」みせるなど、簡単なものしかできないです。
字幕の入れやすさ
どちらも使い勝手はばっちりです。
After Effectsの場合:上部メニュー「レイヤー」→「新規」→「テキスト」
左側のメニューで「文字」というブロックがあるので、そちらで設定していきます。UIはIllustratorやPhotoshopと同じ感じですね。Premiereの場合:上部メニュー「ファイル」→「新規」→「レガシータイトル」
別ウインドウが出てくるので、お好みの字幕に設定しましょう。設定したらウインドウを閉じると字幕が生成されているので、それをドロップすればOKです。
ちなみに、字幕はソフト単体で設定してもよいのですが、「ゴリゴリにこだわりぬいたデザインのテロップを使いたい!」なんて場合はIllustratorやPhotoshopで作成したファイルを読み込んだ方が楽かもしれません。修正も作成元のソフトで可能です。
時間の調整
After Effectsだと「コンポジション設定」→「デュレーション」で動画の長さを決めないといけません。途中で変えたい場合はコンポジションを右クリックして「コンポジション設定」で変更可能です。ですがタイムライン的なものをドラッグして再生範囲を変える必要があります。Premiereに慣れていると、これが地味にめんどくさかったりします…
書き出し形式
After Effectsだとデフォルトのレンダリングではaviになります。他の形式にしたい場合はmedia encoderを使いましょう。Premiereはデフォルトだとmp4です。
その他操作について
クリップの早さを変えるのが、真逆の考え方なので注意です。例えば”300%”と設定すると、Premiereなら再生速度が300%→3倍速、After Effectsだと伸縮比率が300%→1/3倍速になります。
また、操作だけでなく、ショートカットなども結構違うところがあるので、片方に慣れていると、クセでうっかり変な操作をしてしまうことも・・・(泣)
Adobeに感謝?! After Effects・Premiereの連携について
さて、実際の動画編集ではAfter EffectsやPremiereを単体で使うことは実はそんなにないかもしれません。
複数の素材を組み合わせるのならAfter EffectsだけでなくPremiereでつないだ方が楽ですし、どうしても3Dの表現が必要ならその部分をAfter Effectsで作成してPremiereに組み込む…なんてパターンはよくあります。
Adobeの「ダイナミックリンク」という機能のおかげで、別のAdobeソフトで作成した素材を使用するということが簡単にできるんですね。
PowerPointで作成したスライドをWordにはり付ける、みたいな感じが近いかもしれません。
よくあるパターン1:After Effectsで作成した素材をPremiereでつなげる
Premiereで[Ctrl+I]でインポートできるので、After Effectsのプロジェクトファイル(拡張子がaepになってるもの)を読み込みます。
すると素材として扱うことができます。
ちなみにPremiereで作成した素材をAfter Effectsで読み込むとこんな感じです。
みなさん、ここで何か気づきませんか…?
レイヤーがあんなにあったのに、すごくスッキリしてませんか??あの幾重にも積み重なったレイヤーはどこに行ってしまったのでしょうか。
…というときに素材を選んで[Ctrl+E]を押すと、なんと元の素材を編集できるんです。これなら安心して読み込みできますね!
よくあるパターン2:Photoshopで作成した字幕をAfter Effects/Premiereで使う
「PhotoshopやIllustratorの扱いに慣れていて、そっちで字幕やイラストを使いたい」「デザイナーからもらった素材がpsd/aiファイルだった」ということもあるかもしれません。
そんなときもAdobeなら安心です。そのまま動画素材として読み込んで使うことができるのです!
ニュース風動画で使っていたテロップはpsd(Photoshopのデータ)でしたが、画像や動画素材と変わりなく読み込んで使用できます。もちろん編集も[Ctrl+E]でOKです!
どうでしょうか。「ダイナミックリンク」のすごさがお分かりいただけたでしょうか…!
もしこれがなかったとすれば、一度埋め込んだ素材を修正しないといけなくなった場合、
埋め込んだ素材の元ファイルを開く
修正して保存する
修正したファイルをAfter Effects/Premiereでもう一度読み込む
という工程が発生します。ところがダイナミックリンクがあれば、
[Ctrl+E]
修正して保存する
以上です。
上記でAdobe製品以外の動画編集ソフトをご紹介していますが、初心者ならまずはAdobeを使った方がいいかと思います。
利用者も多いので、ノウハウもすぐ検索すれば出てきますし、ダイナミックリンクは一度使うともうそれなしでは考えられないくらい便利です。
当然ながら単体のサブスクだと使えないので、利用したい場合は「コンプリートプラン」の契約が必要になります。
無料体験もできるので、まずは試してみてはいかがでしょうか!
まとめ:とりあえずやってみるならPremiereがおすすめ
ここまでAdobeが誇る2大動画編集ソフトである「After Effects」と「Premiere」を様々な観点から比較してきました。
After Effects | Premiere | |
---|---|---|
どんな動画編集ツールなのか | レイヤーベース | タイムラインベース |
得意なこと | ひとつの動画素材にいろいろな効果をつける | 複数の動画素材をつなぎ合わせる |
学習コスト | 高め | 低め |
(もう片方と比較して)種類が多いエフェクト | 映像系(特に動き・色彩) | 音声系 |
PCに求められるスペック | かなり高め | 高め |
長くなってしまったのでざっくりとまとめますと、
・手っ取り早く動画編集ってどんなものか試してみたい→Premiere
という感じでしょうか。
Premiereは時間軸に沿って素材を並べていくUIになっており、動画編集が初めての方でもとっつきやすく、直感的な操作が可能です。
対してAfter Effectsは素材をどんどん重ねていき、編集していくようなUIなので、動画編集というよりむしろAdobe製品になじみがない人にはとっつきにくく感じられるかもしれません。
また、3D効果などを付けるような、高負荷の編集だとPCもそれなりのスペックのものを用意したほうがよいでしょう。それでも、かっこいいエフェクトをばっちりつけられた時の喜びは何物にも代えがたかったり…。
YouTube・TikTokなど動画配信プラットフォームが整備されてきており、動画編集者の需要はどんどん高くなっています。
この機会に動画制作にチャレンジしてみてはいかがでしょうか!
ちなみに、弊社ではAfter EffectsやPremiereに限らず、動画制作に関するノウハウも発信しております。よかったら以下の記事も参考にして動画編集のイメージを膨らませてみてください!
・【Bodymovin】コーディング苦手なデザイナーさんも、リッチなアニメーションをWebサイトで動かしてみよう!【After Effects】
・Premiere Proで動画を軽量化して、Webサイトの表示速度を上げよう
改めて動画制作について考えてみる
動画編集のためのツールもたくさんあり、ノウハウも出回っており、需要もうなぎのぼりの昨今ですが、ここで改めて動画を制作するメリットについて考えてみましょう。
Web上で動画を利用する主なメリットは以下の通りです。
テキストのみの場合と比べて情報量が多いので、訴求力が上がる
わかりやすい、伝わりやすい、記憶に残りやすい
効果測定がしやすい
SNSでも拡散しやすい
活字が苦手な層にもリーチできる
テキストの情報だと「読んでもらう」必要がありますが、画像や動画であれば否が応でも目に飛び込んできます。
それだけインパクトが大きいということですよね。
また、SNS上やブラウザ上の限られた空間で高密度の情報を届けるにはやはりテキストより動画の方に分があります。
さらに動画であれば、どの部分で離脱したか、反対にコンバージョンにつながったかなどがわかりやすいので、マーケティング上も非常に有益なのです。
SEOにも影響?動画をアップするなら気を付けたいこと
こんなメリットいっぱいの動画ですが、あえてデメリットを挙げるとすれば(テキストと比べて)「重い」ということです。
SNSにアップするだけであれば問題ありません。ですが、Webサイト上でメインビジュアルとして使ったり製品紹介動画などを埋め込んだりする場合は注意が必要です。
知識なしに動画を配置すると、サイトの読み込みが遅くなりSEOに悪影響を与えたり離脱の原因になるので、Webサイト上で使用する場合はプロに相談するのがおすすめです。
弊社で動画制作も承っています
弊社はホームページ制作会社ですが、動画制作にも力をいれています!
自社ホームページでも動画をふんだんに使っていますが、撮影から編集まで全て社内で制作しております。
「こんな動画作りたいんだけど、できるかな?」「動画をふんだんに盛り込んだサイトを作りたい」「動画をサイトにアップしたらすごく遅くなってしまった…」といった、
動画制作に関すること、表示速度に関することなど、まずはお気軽にご相談ください!
またPremiere Proと似た使用感のPremiere Rushを比べて詳しく解説したブログもあるので、こちらも合わせて見てもらえると良いと思います。
【簡単比較!】Premiere Pro と Premiere Rush どちらがおすすめ?