商品の販売を目的としているECサイトでは、現金を使わないオンライン決済のシステムを導入することが必要不可欠です。しかし一口にオンライン決済といっても、クレジットカード、電子マネー、コンビニや銀行での支払いなど、その方法はぱっと思いつくだけでも非常に多岐にわたります。
新しくECサイトを作ろう、売り上げを伸ばすためにサイトを見直そうと考えているそこのあなた!
「とりあえず、クレジットカード決済だけ用意しておけば大丈夫でしょ」
…なんて思っていませんか?
意外と見逃されがちですが、ECサイトの売り上げと決済手段の数の間には強い相関があります。
この記事ではそこに焦点を当てて、詳しく解説していきます。
目次
EC決済方法の種類
まずは、どの決済方法がどの程度利用されているのかを確認していきます。
下のグラフは総務省が毎年行っている世帯調査のデータの一部です。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
インターネットを使って商品を購入する際の決済手段
引用元:令和4年 通信利用動向調査報告書(世帯編)| 総務省
クレジットカード決済
まずはオンライン決済の花形である、クレジットカード決済です。統計結果からみても、回答者の4人に3人が使用している最もメジャーな決済方法になります。今や持っていない、使ったことないという人の方がきっと少数派でしょう。
メリット
クレジットカードがここまで普及した最大の魅力は、決済に必要な行動を購入の瞬間にその場で完結できることにあります。コンビニ決済・銀行振込といった旧来の決済方法では、商品の購入手続きが完了したのちに別途決済を行う必要があるので二度手間になってしまうところ、クレジットカードではその必要がありません。
ネットショッピングで売り上げを向上させるために必要な要素の一つに、「ユーザーの手間を省く」ことが挙げられます。とりわけ「決済」という行動はユーザーが一番神経を使うタイミングなので、そこにかかるストレスをどれだけ減らせるかという点においてクレジットカードが適任という訳です。デメリット
ユーザーの決済で発生する手数料は、必ずECサイト側が負担しなければなりません。また自サイトで漏洩や不正利用が起きないように、セキュリティにも細心の注意が必要です。
コンビニ決済
2番目に多いのがコンビニ決済です。公共料金の支払いなどで利用したことのある方も多いかと思います。
この決済方法はコンビニ店頭での取引になるため、オンライン決済に抵抗のあるシニア層やカードを持てない中高生でも気軽に利用でき、より広い年齢層をターゲットにすることができます。
メリット
オンライン決済でないのにもかかわらず24時間いつでも決済可能なため、銀行のように営業時間を気にせずに利用することができます。仕事や学校などで平日の昼間に行くことができない、という人でも安心です。
コンビニによく立ち寄る人であれば、買い物のついでに支払いを済ませられます。デメリット
後払いタイプの場合、ユーザーの支払いが滞ってしまえば代金を受け取れない可能性があります。
ただし、近隣にコンビニがない地域に住んでいる人にとっては不便です。
電子マネー
電子マネーは、ここ数年で大きく頭角を現した決済方法になります。SuicaやPASMOといった交通系マネー・楽天Edy・nanacoなどが有名です。
メリット
あらかじめ任意の金額をチャージしておく「プリペイド型」のカードが多く、残高さえあれば手続きが非常に簡単で早く済みます。小回りの利く決済方法で比較的少額向きなこともあり、デジタルコンテンツの販売に適しています。
デメリット
チャージした金額以上は使うことができないため、高額な商品の購入には向いていません。
衣服や機器といった数万円単位の買い物には不向きです。
代引き(代金引換)
商品が郵送された際に配送員に直接現金で支払う方法です。古くからある決済手法です。
メリット
家具や電子機器など自宅に配送される商品の購入に有効で、オンライン決済ではないためセキュリティの心配がなく、また支払いが商品の受け取り後に行われるため安心です。
デメリット
商品の代金とは別に、代引き手数料が追加されます。
在宅でないといけない他、玄関先での受け渡しが発生するため一人暮らしの女性にとってはあまり好まれません。
キャリア決済
キャリア決済は、上記グラフの「通信料金・プロバイダ利用料金への上乗せによる支払い」にあたる決済方法です。「auかんたん決済」「ソフトバンクまとめて支払い」「d払い」といった大手携帯会社で提供されているサービスになります。
メリット
クレジットカードを持たない人でも自分のスマホから簡単にアクセスできるため、若年層との相性が良い決済方法です。
ストリーミングサービスやネットチケットといったデジタルコンテンツに適しています。デメリット
比較的手数料が高く、割高になりがちです。
また利用限度額が低く、高額なショッピングには向いていません。
銀行振込
古くからある決済手法なので、高齢者でも気兼ねなく利用することができます。
代金が支払われないと商品が発送されないため、未払いが発生することもありません。
メリット
銀行口座から直接支払うため、高額な商品でも漏れなく支払うことができます。
インターネットバンキングが普及したことにより、24時間いつでも利用できるようになりました。デメリット
オンライン口座がない場合、銀行の営業時間中に出向いて取引する必要があります。
サイト運営側にとっては、入金確認に手間がかかるのが不便です。
ID決済
ポストペイ型(後払い式)の電子マネーです。Amazon Pay・楽天ペイ・PayPay・LINE Payなどが挙げられます。事前にチャージをする必要はなく、代金が利用後に紐づけられたクレジットカードから引き落とされる仕組みになっています。
メリット
プリペイド型(先払い式)の電子マネーとは異なり、都度チャージする必要がありません。
暗証番号の入力といった手間も少なく、紐づけたクレジットカードのポイントを貯めることもできます。デメリット
ネットショッピングというよりも、コンビニなど細々とした買い物で使うことが多いです。
サイトに導入する際には、個別で手数料がかかってしまいます。
Paypal
ユーザーのクレジットカード情報を売り手(サイト運営者)に伝えることなく、決済を行うことができるシステムです。信頼が低いサイトや海外サイトなどで決済を行いたいときに重宝します。
メリット
「買い手保護制度」が充実しており、商品が届かないときや決済に何か不備があったときに保証を受けることが可能です。
18歳以上であれば、クレジットカードを持っていなくても銀行口座を登録することで利用可能です。デメリット
一括支払いしか選択できません。
また為替手数料が比較的高く、海外ショップでの商品購入が少し割高になってしまいます。
決済方法一覧表
ユーザーの手間 | 主なターゲット層 | サイトへの導入手数料 | |
---|---|---|---|
クレジットカード決済 | 少 | 幅広い年代層(主に中年層) | 安め |
コンビニ決済 | 中 | 幅広い年代層(主に若年層、高齢層) | 安め |
電子マネー | 中 | 若年層 | 安め |
代引き | 多 | 中〜高年層 | 高め |
キャリア決済 | 少 | 若年層 | 高め |
銀行振込 | 多 | 高齢層 | 高め |
ID決済 | 少 | 若〜中年層 | 高め |
Paypal | 少 | 若〜中年層 | 為替手数料が高め |
導入しておきたい決済方法
ここまでいろいろな決済方法を紹介してきましたが、結局どれを選べばよいのでしょうか?
事業者の視点から考えていきます。
導入の優先度が高い決済方法
優先して導入すべきは、その決済を利用しているターゲット層が広く、かつどんな年齢層・どんな地域でも比較的簡単に扱えるものです。
クレジットカード
もちろん、圧倒的な使用率を誇るクレジットカードは外せません。
カードを所有していない、オンライン決済に抵抗があるといった方を除けばユーザーのほとんどの方が使用しています。
利用率が高いため決済代行会社のサポートプランも手厚く、導入にあたってもあまり難がありません。コンビニ決済
クレジットカードに次いで利用率の高いコンビニ決済も導入するべきでしょう。
コンビニ決済は代金の支払いが完了したのちに商品が発送される仕組みになっているため、クレジットカードに比べて代金の未払い・未回収のリスクが低く安心感もあります。代引き
代引きは購入者から直接料金を徴収する仕組みのため、デジタル決済でのトラブルが起こりません。
デジタル決済に不安感があり、ユーザーとのトラブルのリスクをなるべく避けたい方にとっては、導入する価値が高い決済手法です。
内容によっては優先度の高い決済方法
上で紹介したものは普遍的に利用価値の高い決済でしたが、販売する商品の内容や形態によっては優先する価値が高くなるものもあります。
キャリア決済
クレジットカードは持っていないがどうしても欲しいものがある、そんな中高生~大学生をターゲットにする場合はキャリア決済の導入がおすすめです。
キャリア決済は大手携帯会社の契約をしていれば誰でも利用でき、特別な手続きも必要ないため、はじめてのオンライン決済でも最もハードルが低くシンプルです。
イベントのグッズやライブチケットなど、そこでしか買えない商品を売るのに適しています。ID決済
この記事で紹介したデータには表れていませんが、現在進行形で急速に普及している決済手法です。
1000円単位程度の細々とした買い物で使用されることが非常に多く、消耗品の購入やデリバリー等のサービスで非常に重宝されます。
今後ますます需要が高まることが予想されるので、販売形態によっては導入しておいて損はありません。
決済方法は多い方が良い
とはいえ、「いろいろと用意するのも面倒だし、結局クレジットカードで払えるようにしておけば他は必要ないでしょ」なんて考えていませんか?残念ながらそうでもありません。
たとえばクレジットカードを作ることができない、持っていない中高生や大学生といった若者層でも交通系ICであれば使えるかもしれないし、オンライン決済に抵抗のあるシニア層でも、日頃から公共料金の支払いに使っているコンビニ決済であれば安心かもしれません。もしクレジットカード決済しか用意していなければ、こういった「商品の購入までつながったかもしれない」ケースの機会損失を招くこととなるでしょう。
このように、ECサイトを作るうえで最も注意しなければならないことがユーザーの離脱率です。
一通り商品を眺めて終わり、「そのうち買おう」とお気に入り登録だけして終わり、お金を払う手段がないから終わり、では意味がありません。ECサイトを作るからには、決済が完了して商品が購入されなければ意味がありません。
ユーザーがECサイトに訪れてから購入手続きが完了するまではおおよそ、
「検索」⇒「商品ページの閲覧」⇒「カートに入れる」⇒「決済」の4ステップに分かれます。
「決済」にたどり着く前にこれだけの段階を経る必要があるので、最後の最後に離脱されてしまっては勿体ないです。ここでの離脱を避けるためにも出来る限り多くの決済方法を用意し、購入の機会損失を防ぐようにしましょう。
ネットショッピングではお財布の紐が緩くなりがちです。ショーウィンドウ越しではちょっと気の引けるお高い品であっても、なぜだかスマホの画面からは勢いで「ポチッ!」とすぐ押せてしまいます。その性質を利用して、ユーザーにさらに積極的に商品を購入してもらえるように導線を増やすこともECサイト制作の重要な要素です。決済に関しても、それは重要です。
どうしたら離脱率の少ないサイトを作れるか?という疑問をお持ちの方は、こちらの記事でも紹介しているのでぜひご覧ください。
ECサイトに必要な機能7選と運営効率化におすすめの機能
決済代行会社の選び方
Amazonや楽天市場・Yahoo! ショッピングといった大規模なECサイトで出店する場合にはプラットフォーム側が決済機能を用意してくれますが、自社開発するECサイトの場合はこれを自前で用意する必要があります。オリジナルの決済システムを自作することもできますが、前述のとおりセキュリティ面でのリスクが大きすぎるため極力控えましょう。
そこで登場するのが決済代行会社です。
決済代行会社と契約し、その会社が管理するシステムを借りることで、どんなサイトでも比較的安全に決済システムを導入することができます。とはいっても決済会社はたくさんあるため、どの会社が自サイトに一番見合っているかを選ぶのは一筋縄ではいきません。
その手助けとなるよう、いくつかポイントを紹介していこうと思います。
導入したい決済方法ができるか
ここまでECサイトに導入できる決済方法を色々と見てきましたが、まずはどの決済方法を自サイトに導入するかを検討していきましょう。
自分のサイトで販売する商品の形態・ターゲット層に合わせて必要な決済方法を決定したら、まずはそれらを過不足なく取り揃えている会社を探してみるといいでしょう。
扱う決済手段は決済代行会社によって、またはそのサービスプランによって大きく異なります。
自社の商材に合わせて、適した決済手段を取り揃えているサービスを探しましょう。
定期購入機能を導入するか
月額支払いのような継続課金システムを導入する場合、月額で自動的に支払いを済ませてくれる仕組みをサイトに設置する必要があります。
サブスクリプションや定期購読のような情報商材を販売するほかにも、有料会員制のあるサイトを作りたいといった場合にも必要な機能です。
手数料やトランザクション料はどうか
決済代行会社の料金体系は主に以下の2パターンがあります。
自ECサイトの規模、ECサイトから得る目標利益、それらを加味したうえで、負担するコストとして妥当かどうかをあらかじめ入念に検討しておきましょう。
決済手数料のみを負担する場合
初期費用やランニングコストを負担せずに、決済手数料や取り消し手数料のみを負担するタイプです。
初期費用が掛からないことや導入に期間を要さないことから、小規模事業主やスタートアップ事業主に向いています。
しかしその分、システムの機能やアフターサポートに制限がかけらていることが多いです。また決済1件1件に対しての手数料(トランザクション料)が発生するため、売り上げが増えたときに予想以上に支払額が増えてしまうこともあります。
初期費用やランニングコストを負担する場合
決済手数料に加え、導入のための初期費用、月額のランニングコストが発生するタイプです。
費用がかかる分、それぞれの決済機関への審査手続きやシステム開発費、システム利用費、顧客のクレジットカード情報の管理など、様々なサポートオプションが用意されていることが多い料金体系になっています。
初期費用に大きく投資しなければいけないため、スタートアップや小規模なECサイトを運営したい場合には不向きです。また導入までに必要な期間が1〜2か月程度と長いため、サイト公開前からある程度の売り上げが見込めている企業向けのプランになります。
サポート体制はしっかりしているか
オンライン決済を導入する以上、どんなに用心していても何らかのトラブルは起きてしまいます。そんな時の対応を自社で行うとしても限界があります。ユーザーの安心感を損なわないためにも、すべてプロに一任してしまった方が良いです。
そのために、サービス導入時のサポート、何かしらのトラブルが起きた際のサポート、トラブルに合ったユーザーへのサポートなど、多方面で手厚く補助してくれる会社を選びましょう。
サポートが手厚くなる分料金が膨らんでしまうこともありますが、万が一のことは常に想定しておくべきです。信頼のできる会社であれば、それ相応のコストをかけてしまっても致し方ありません。
主な決済代行会社
最後に、おすすめの決済代行会社をいくつか紹介していきます。
ECサイトでの商品販売形態はBtoC(Business to Consumer)とよばれるものであるため、BtoB向けではなくBtoC向けのサポートから見合ったものを選びましょう。
SBペイメントサービス
ソフトバンクが運営する総合的な決済サービスです。
主要な6大国際クレジットカードブランド(Visa、MasterCard、JCB、American Express、Diners Club International、Discover)すべてや、Paypay、楽天Pay、主要なキャリア決済といったこれまでに紹介してきた決済手法はほぼほぼ取り揃えられています。
オンライン決済に限らず、実店舗での決済をサポートしてくれるプランもあり、サポートの幅も広範囲にわたります。
SB Payment Service
GMOペイメントゲートウェイ
GMOが運営する決済サービスで、こちらもまた多様な決済手段に対応しています。
セキュリティの質やサービスの幅が広く、ECサイトを運営するうえで心強いサポートを受けることができます。
大手の運営するサービスなので、安心して導入に踏み切れるでしょう。
GMO PAYMENT GATEWAY
VeriTrans4G
ECサイトの運営に限らず、様々な形態(自動販売機や精算機、POS端末など)で利用できるサービスを展開しています。
様々な事業の決済まわりを一括して委任したい方におすすめです。
VeriTrans4G
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました!
今回はECサイトの決済方法について深掘りしていきましたが、いかがだったでしょうか?
BRISKのブログでは他にもECサイトのデザインや構築の仕方など、多岐にわたってご紹介しています。
これからECサイトを作ろうと思っている方は、是非そちらもチェックしてみてください。
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