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【中小企業向け】未経験から始めるWeb制作会社の新卒研修【HTMLからプログラミングまで】

2020/05/07

4月に入って弊社でも新卒社員が入社し、1か月の社員研修を行いました。
まとまった研修期間をとって教えるというのが弊社では初めての取り組みでしたが、予想以上についてきてくれて、結果は上々です!
そこで今回は「未経験」で「初めての新卒研修」を実施した結果を今後の知見として活用できるようまとめました。

結論を言うと「はじめが肝心」「コミュニケーションは質より量」「方向修正を恐れない」がポイントになります。

  • 社員数が20人前後の会社で、研修に割く潤沢なリソースがあるわけではない

    コロナの影響で教育係の人数があまり確保できない

    初めて研修を任されたが何をしたらいいのかわからない

    制作会社の研修でどこまで教えたらいいのかあやふやである

    むしろ指導経験もディレクション経験もそんなにない

という方には参考になる部分もあると思いますので、ぜひ読んでいただければ嬉しい限りです!

Contents

  1. はじめに~新卒研修はいつ・何のために・誰が実施したの?~
  2. 新卒研修、何をどんなふうに実施したの?
  3. 体が足りない?!実際に未経験で新卒研修をやってみた感想
  4. まとめ~未経験でも人数が少なくても新卒研修はできる~

はじめに~新卒研修はいつ・何のために・誰が実施したの?~

まずは弊社が新卒研修を行うことになった背景や概況などをざっくり5W1Hでまとめました。
似た状況に置かれた方であればきっと以後お役に立つかと思います…!
また、新卒全員が(ほぼほぼ)未経験なので、新卒に限らず未経験の中途の研修にもヒントになるかもしれません。

When/Whoいつ、誰が研修を実施したの?

新卒研修は、4月1日に新卒が入社したその日からGWが明ける5/8まで、およそ1か月
弊社のような規模の会社では1か月丸ごとリソースに使うというのは結構な挑戦(らしい)です。

毎週テーマを変えて先輩のエンジニアやデザイナーが交代で教えました。基本的に2人体制で2人の先輩が2人ずつ見るという感じで行いました。
ちなみに本記事が執筆されたのはコロナウイルスが猛威を振るっている時期ですが、基本的に電車通勤の社員はリモート、自転車・徒歩通勤の社員は出社のスタンスをとっています。
新卒でも電車通勤の方はいましたが、全員合意の上リモートではなく対面での研修を実施となりました。
(もちろん、3密は避けて、健康状態には気を付けて実施しましたよ!)

Whom入社した新卒はどんな人?

今年の新卒はデザイナーとエンジニア志望が2人ずつで、4人全員が女性です。
デザイナー志望の2人は専門学校でデザインの勉強をし、コーディングは授業でやったことがある程度。
エンジニア志望の2人については、一人は授業でC#を触ったことがあり、もう一人は完全に未経験。
※ただ、入社前にみな自己学習はしてきてくれたようでした。
また、社長曰く、共通点は「メンタルが強い」だそうです。

Whyなぜ研修を行ったの?

これまでも毎年新卒を採用していたのですが、まとまった研修はなく、いきなり案件に参加してもらうということもザラでした。
今年は4人入ってきて、そこまでスキルに差がなく、共通してプログラミングに興味があるということでまとまった研修を行うことになったのです。

また、いきなり実務に入って、仕事で求められるクオリティや取り組む際の温度感に戸惑ってしまうケースを避けるためでもあります。
研修のうちから実際の仕事に求められるであろう姿勢や温度感を体感してもらうために、結果的に厳しめの研修になりました…!

Where弊社が置かれているポジションってどこ?

弊社は17名の比較的小規模な会社です(2020年4月現在)。
そのため、大企業と比べると割けるリソースが段違い。時間的にも予算的にも制約があるのが実情です。
また、人数が少ないからこそ、スキル云々よりも会社の雰囲気に早く慣れて(マッチしていって※)ほしい、ミスマッチを起こすくらいならやめてもらってよいというスタンスをとっています。

(※カルチャーマッチというやつです。なにそれ?なんで重要なの?と思う方はこちらの記事もどうぞ。)
新卒がカルチャーマッチしています。(社長日記 2019年7月)

どんなふうに(How)、何をやったか(What)については章を分けて説明いたします。

新卒研修、何をどんなふうに実施したの?

限られたリソースで最大限の成果を出すにはどうしたらいいのか?研修をやったことのない社員が教えるにはどうしたらいいのか?などを研修開始前はもちろん、研修期間中も何回も何回もミーティングを重ねました。

What研修では何をやったの?

弊社で行った新卒研修の概要は以下の通りです。
事前のヒアリングで全員がプログラミングに興味があるということで、全員にプログラミング研修を行っているのが他社とは違うところかもしれません。

時期(4月1日から開始) やったこと 備考
1週目(4/1~) 社内ルール・HTML/CSS 環境構築なども含む
2週目(4/6~) HTML・CSS・JavaScript・画像スライス フレームワークはjQueryを使用
3週目(4/13~) PHP・DB
4週目(4/20~) WordPress インストールからページの実装まで
5週目(4/27~) WordPress / デザイン エンジニア志望とデザイナー志望で分岐

当初は5週目も全員WordPressの研修を受けてもらう予定でしたが、4週目で一通り教えてしまったのもあり、5週目はエンジニア志望の2人にだけよりハイレベルなWordPress課題を出し、デザイナー志望の2人にはデザインの研修を受けてもらうことに。

そのほかやったこと

上記の研修で扱う内容はすべて、実案件をベースに作成しました。
スケジュールの都合上、一部文言を変えたり、分量を調節したりもしましたが、全く同じものを課題として出すことも。

また、教える内容によって座学の時間を設けたり、進捗を確認すべくレビュー会をやったり、難しい内容だったら答えが出るまで一緒に考えたりと、手を変え品を変え教えた内容を習得してもらえる方法を考えました。

上記に加えて、その週の総仕上げとして毎週末課題を出していました。翌週月曜の朝には先輩の前で成果物について説明する「レビュー会」があるので手を抜くこともできません(笑)。

What研修はどんなふうに実施したの?

せっかく研修を受けたのに実務で全然戦力にならない、となっても当然失敗。
スキルは育ったとしても、仕事の進め方や報連相などがいい加減だったら一緒に仕事をしたくない。
とはいえ、あまり教えるのにエネルギーを割くと抱えてる案件が回らなくなったり教えている側が破綻したりしてしまいます。

というわけで、弊社の研修は以下3点のバランスを意識しつつ進めました。

  • できる限り早く新卒に育ってもらい、バリバリ案件をこなせるようになってほしい(スキルの部分)

  • 仕事のスキルも大事だが、会社の雰囲気や仕事の進め方にも慣れてほしい(スキル以外のマナー・人柄の部分)

  • 時期を決め集中して行うので、実施中は常に一定のリソースを割きたい(リソースの部分)

できる限り早く新卒に育ってもらい、バリバリ案件をこなせるようになってほしい(スキルの部分)

とにかく「実際の仕事の状況にできる限り近づける」というのを意識しました。
そのため「業務にあたるうえで最低限マスターしてほしい」内容と「このあたりのスキルをマスターしていると戦力になる」ような内容を意識して教材を作ったり課題を出しました。

毎日新しいことにどんどん取り組んでもらい、毎週末も課題を出していたので、土日もそうそうゆっくりしていられません。さらに後半には実務に近いクオリティも求めるように。
よくついてきてくれたなあとも思うくらいです(笑)。

基本的にメンタルが強そうな子を採用した、とのことなので、厳しい研修にもついてこられたのかなと思います。同期が4人いて、互いに助け合える環境だったのもよかったのかもしれません。

仕事のスキルも大事だが、会社の雰囲気や仕事の進め方にも慣れてほしい(スキル以外のマナー・人柄の部分)

「コードはこんな風に書く」「この関数を使う」といったスキルも大事ではありますが、仕事に取り組む姿勢や態度はもっと大切、というのが弊社のスタンスです。
スキルは場数を踏めば自ずとついていきますが、一度身についてしまった仕事への姿勢を修正するのは簡単ではないですよね。

そのため、社会人経験のない新卒の研修は仕事の取り組み方についての指導も織り交ぜていました。

変化の激しいWeb業界。クライアントの業種や案件も多種多様で、同じものは一つとしてありません。
やったことのないものにぶつかることは日常茶飯事なので、チャレンジ精神は常に持っていてほしいもの。
また、分からないことに物怖じせず、先輩に質問できることも大事です。
とはいえ、貴重な先輩の時間を無駄にしてはいけないので、「できるだけ自分で考える」習慣をつけることもねらいの一つです。

時期を決め集中して行うので、実施中は常に一定のリソースを割きたい(リソースの部分)

指導する先輩は皆それぞれ案件を抱えながらの指導になるので、案件が手いっぱいというときは適宜担当を変えたりして、新卒4人の手が空かないように意識しました。
(専用のチャットグループを作成して、常に研修の様子を関係者間で共有し適宜調整を行いました。)

…その結果、去年の新卒の子に内容を話すと「自分だったら心が折れそう」「でもちょっとうらやましい」と言われるような、めちゃくちゃきついけどその分やり遂げればしっかり骨肉になるようなハードな筋トレのような研修が完成したのです…!!

体が足りない?!実際に未経験で新卒研修をやってみた感想

実際にやってみて大変だったことや気づいたことをまとめました。この辺りは来年以降改善したいところです。

知識が足りない

普段なんとなく使っていたCSSのあのプロパティ。コードレビューで出てくる見たことのないHTMLタグ。
いい加減なことを教えるわけにいかないので指摘するにも「そもそも」や「なぜ」を考えてから
裏を返せば自分の理解もあやふやだと言えるので、気を入れなおして勉強しなきゃな…と思いました。

また、研修中はわからないことがたくさんでてきます。新しいことをたくさん頭にいれなきゃいけないので、当然ですよね。
そんなときに先輩に「ここがわかりません」とはっきり質問できる人はいいのですが、「何がどうわからないのか」を整理するのに時間がかかる人もいます。

限られた研修時間の中で一定レベルの成果物を出してもらうために、手が止まる時間をできるだけ少なくしないといけません。
とはいえ、答えを示すだけなら簡単ですが、なるべく自分で考えるようにしてほしいので、考えを引き出すような質問をするのが結構難しいなと思いました…。

はたまたプログラミングなど、抽象度の高い問題だと自分が状況を理解するのにも時間がかかるので、(なんならぱっと見ではわからないものも・・・(笑))
それをうまく考え方の道筋を示すのはなかなか難しいので、知識不足を痛感しました。

時間が足りない

他に抱えてる案件を処理しつつ、合間合間で質問に答えるという毎日で、案件の〆切が迫るとやはり目の前の研修に集中できなくなりそうなこともありました。
また、研修中に何度も内容を方向性を修正したり、教える内容を追加したりしたのですが、その時間を想定してなかったので思った以上に「時間が足りない!」と思うことも。
ただ、この点は専属で教育担当をつける、知見が貯まれば自ずと解決するようなものでしょう。

ちなみに弊社では「新卒研修が他の業務より優先である」という方針でやっていたので、見積もっていた量より案件に関わる時間が増えそうなとき(仕様変更や追加の依頼など)は他の人に振ったりしました。

いずれにせよ優先度をつけて処理していく力が求められます…!

体が足りない

一番大変なのはこれかもしれません。
当初は担当が一人の週もあったのですが、一人でやるとマジでしんどいんです…!
席の配置にもよるのですが、弊社では2人ずつ向かい合わせになって座る配置だったので、
4人いっぺんに画面を見せて教えることができず、あっちに行ったりこっちに行ったりと物理的に大変でした。
そういうわけで2人体制がいいね、となりました。

カリキュラムを進める上でも、独りよがりにならず、相談しつつ進めていけるので研修経験が少ないのであれば少なくとも2人体制でやるとよいでしょう。
知見が2倍速で貯まりますしね!

まとめ~未経験でも人数が少なくても新卒研修はできる~

研修では基本的に自分が経験したことを、後輩たちにやってもらうのですが、十人十色という言葉があるように、詰まるポイントもまさに十人十色でした。
自分が経験したことのないパターンで詰まることもあり、「え???!」「なにこの現象?????!!」とテンパることもたくさんありました(汗)。
常日頃からシステムやWeb制作の本質をつかんでいないと、対処できないことも多いので身の引き締まる思いがしました。

それでもなんとか研修が形になったのは、研修担当者が以下3点を意識したからだと思います。もちろん新卒全員の姿勢が素晴らしいというのもあります!(手前味噌でどうもすみませんw)

1はじめが肝心

第一印象って会ってから数秒で決まり、その後2時間くらいで固まり、それを覆すには数年かかる場合もあるそうです(諸説あります)。
それだけ最初の印象とは重要であり、印象付けが大事だというのがお分かりいただけるでしょう。

そのため研修ではいきなり実務レベルでの課題を課し、プロとしての姿勢を要求しました。
最初に「研修だから」「新卒だから」といった理由で甘めの対応をしてしまうと、実務に入ったときのギャップが大きくなるからです。
ここでめげずに這い上がってくれるのであればいいのですが、そこで心を折れてドロップアウトしてしまったり、手を抜くことを覚えてしまったりするほうがリスクなので、弊社では「はじめから厳しく」という方針を取りました。

2コミュニケーションは質より量

上京してきたり、長時間の通勤があったりそれぞれ慣れない環境になじむ必要もある新卒社員。
そこでさらにハードな課題を出され、週末も課題に追われる日々。
しかもそれが数日ではなく1か月の長丁場。

正直なところ、見ていて明らかにモチベーションが下がっているなと感じたり、疲れているな…と思うこともありました。
何か気の利いた一言をかけられればいいのですが、教える側も完璧な人間ではないので、100点満点の対応をすることはできません。

せめてできることとして、コミュニケーションの質ではなく量を意識しました。1発で100点を目指すのではなく、60点を何回も積み重ねるイメージです。
質問されたことでわからないことがあれば、他の人に聞いたり、一緒に調べる方法を考える。どうしても詰まって前に進まないときは一緒に遅くまで会社に残って教えることもありました。

他にもランチの時に雑談をしたり、みんなで(ソーシャルディスタンスを保ちつつ)コンビニに行くなど、仕事モード以外のときにもコミュニケーションする機会を作るように意識していました。

3方向修正を恐れない

事前に予定を立てていたものの、実際に研修が始まると「内容を修正したほうがいいかな?」「担当予定の人が忙しすぎて研修に入れなそう」ということも。
その都度ミーティングを行い、「今週の内容はこれも盛り込もう、来週は別のことをしてもらおう」「担当はこの人とこの人にしよう」なんて変更を何回も何回もしました。

初志貫徹も美徳ではありますが、未経験で明確な形のない状態であればどんどん軌道修正をしていくといいでしょう。

また、研修の内容的には、前もって最低ラインと応用ライン(追加でここまでやってほしい)みたいなのを決めるとよさそうです。
ありがたいことに(?)、みんなガッツを見せて取り組んでくれたのもあり(研修の教え方がよかったのもあり(笑))、下方修正することはなく、研修内容の追加などの上方修正が多くなったのでよかったと思います。

研修はいまも継続中ですが、今年(2020年)入社した新卒の奮闘ぶりはこちらの記事で読めます!
新卒BLOG2期目~課題を乗り越え成長しよう!~

引き続き意欲的に業務に取り組み、貪欲に学び続けてほしいですね!
そして先輩もその姿勢に負けじと努力し互いに切磋琢磨する環境になればいいなと思います。